廃棄物政策

院試面接で材料工学の質問に対して「覚えていません」を連呼していたのに合格していた。全入なのかと合格者を数えてみたら、19人受けて11人合格であった。定員割れしてますよo(*・ω・)O"

結果に関しては、面接より筆記に比重を置いたからだと思う。私は面接を重視すべきだと考える。即ち、卒業時にどういった人物になっているか、そのためにはどのような力を院で身につけなければならないかを思い描けている人を取るべきだと考える。この判断は院は勉強を自らする場所と認識していることによる。が、結果的に筆記重視に救われた形に。自分の筆記結果は数学60点、英語100点、論文90点ぐらいだとおもう。英語が100点なのは、全部日本語で知っている内容だったから。。。知的財産戦略についてで、最近研究が盛んですよね。


さて、論文について、思い出してメモをしておきます。
出題は①か②の題材を選ぶもので
①技術の危険性を述べよ(原子力、遺伝子操作など)
②廃棄物政策をのべよ、ただし、技術、地域環境、コストを文章中に使用すること(循環型社会など)
というものでした。


①に関しては、とりわけ原子力については、散々議論していました。それ故、書きたいところです。が、アスベスト問題や原子力問題は解決策や代替案の提示が困難なので止めました。解決策の提示は問題文にありませんでしたが、一般的に問題点を指摘したら必要です。


というわけで②について、結論までの道筋を考え、思索。30分ほど過ぎて、結論までの道筋が描けたので書き始めることに。ふと、隣に目を遣ると、書き終わった様子で寝ていた。この人は落ちたに違いない・・・。


以下は廃棄物政策についてのメモです。興味がある人以外は面白くないはずです。


 近年は、リサイクルに注目が集まり、循環型社会を目指す傾向があるように感じる。しかし、最も重要なことは、循環型社会を目指す前に、廃棄物そのものを無くすことである。


 廃棄物が循環している例をみてみよう。例えば、携帯電話が挙げられる。携帯電話の基盤には貴金属とりわけ金が使われている。詳しく経過をみてみると、携帯電話は収集され解体工場に運ばれる。その後、粉砕され、物質ごとに分けられる。実は、粉砕されたものを正確に分別するには高度な技術が必要である。そのため、この分野に関して、技術を持った企業がすくなく、競争がおきにくい。加えて、金が高価であるため、コストをはるかに越える収益を上げることができる。
 
 次にペットボトルの循環をみてみよう。ペットボトルも収集され粉砕され、プラスチックは繊維の原料として出荷される。携帯電話との違いは、この工程は技術的に容易であることである。つまり競争が激しくなる。加えて、金とは違い、原料としての価値が低い。要は儲からないのである。
 プラスチックのリサイクルは企業にインセンティブを与えない。しかし、環境面的世論から企業はリサイクルを求められている。そういった場合、企業はどうするのか。コストを削減することで、収益が上がるように改善するのである。即ち、人件費の安い中国に丸投げしてしまうのである。ここで重要なことの1つは、携帯電話の循環では技術的に中国にはできない。しかし、ペットボトルならば技術的に十分可能ということである。が、廃棄物の輸出はバーゼル条約違反である。即ち、ペットボトルの輸出は国際法違反なのである。しかしながら、採算性を求めて、密輸のような形で、今でも輸出されている。

 次に、紙の循環を見てみよう。再生紙の価値はペットボトルと同様に低い。加えて、紙の収集費や再生費で、逆に高価なものとなっている。つまり、新紙より再生紙の方が製造コストが高くなってしまうのである。しかし、黄色みがかった再生紙は需要が少なく、新紙より高い値段では売れない。その結果、新紙と再生紙はほぼ同額で販売される結果となる。このため、再生紙を売っても利益がでないのである。こういった状況があるので、たとえ人件費が安い海外に丸投げしても、ほとんど利益を生まない。企業としてはインセンティブの無いリサイクル分野といえる。


 実は、携帯のように企業が率先してリサイクルを望む分野はごくわずかである。多くのものはペットボトルや再生紙のような状況である。即ち、利益をほとんど生まない或いはコストを生むことになるのである。こういった状況で、循環型社会を推し進めようとしても、企業の協力が得られず失敗するのではないだろうか。
 そこで代替案の1つとして、廃棄物そのものをなくす政策を訴えることにする。


 廃棄物を減らすために、新聞をPDF情報化するのはどうであろうか。これならば紙が不要になる。他には、スーパー袋をなくし、自前の買い物袋を持参するようにしてはどうだろうか、こうなれば、スーパー袋は必要なくなる。こういった主張は今までの感覚では受け入れられないかもしれない。しかし、実行することは可能である。例えば、マイクロソフト社では社内では紙の使用は禁止され、全てPDF情報でやり取りされる。また、台湾では、スーパー袋を店がくれないことが常識となっている。

 
 上記で説明したように廃棄物を無くすことは可能である。しかし、PDFデータは消去することができても、買い物袋は消去することはできない、廃棄物となってしまう。こういった物を考える場合にまず大切なことは廃棄物となってしまうものの耐用年数をあげることである。その上で、必ず作らなければならないものは、自然に分解されるものとするのはどうだろうか。例えば、プラスチック系のもので、土に埋めれば分解される素材が最近開発されている。このプラスチックを繊維状に加工し買い物袋を作れば、使用後に土に埋めれば、自然に還元されることとなる。これこそ、地域環境にやさしい政策ではないだろうか。また、耐用年数をあげたり、環境に優しい素材を作るには技術革新が重要と考える。


 全ての使用済み物質が自然に還元されることが理想である。しかし、現実には自然に還元されない物質で作らざる得ないものもある。こういった場合は、環境影響を総合的に考える必要がある。即ち、LCA的思考である。例えば、ハイブリッドカーを作った場合、それを作るために使用した二酸化炭素ハイブリッドカー二酸化炭素の排出が少ない走行でバランスをとろうとする場合には約3万㌔走る必要がある。
 LCA的考えの場合、技術革新が非常に大きな役割を果たす。例えば、太陽電池の場合数年前は、太陽電池を作るのに使用したエネルギィをその太陽電池から得るには数百年必要であった。そして、現在では新しい触媒が提案され、数年でLCAの収支バランスがとれるようになった。


 さて、LCA的考えで、前述した紙のリサイクルを考えたらどうなるのだろうか。実は、ガラスや紙はリサイクルすればするほどLCA的にマイナス、つまり環境へ悪影響があるといえる。このことからも、循環型社会を目指すより廃棄物無し社会を目指すことを支持できる。


 以上の要点をまとめると。廃棄物政策では、第一に廃棄物そのものを無くすことを目指すべきである。その1つの方法として技術力向上が挙げられる。
 そして、廃棄物を限界まで削減した後は、LCA的基準を満たすような循環型社会を目指すべきである。