ケーススタディ

助教授が技術を産業化するために〇〇と共同でプロジェクトを進めています。こんな身近で、技術経営のケーススタディが学べるとは幸運です。

技術から産業を創出するときは、低機能、低水準の市場から攻める方が、高品質が求められる市場より適切だと考えます。なぜなら、技術が十分に開発されておらず、いわゆる上層市場では評価基準を満たせないからです。
例えば、トランジスタは初めから高品質が要求されるコンピューターに組み込んだわけではなく、低水準の動作保障で問題がないトランジスタラジオの開拓から始まりました。また、炭素繊維をはじめて作ったのはロールスロイス社です。彼らはエンジンに組み込もうとしました。しかし、要求水準を満たせず、炭素繊維の技術は活用されませんでした。一方、東レは低水準で問題ない、ゴルフヘッドに炭素繊維を使い、技術をストックし、各方面に進出していきました。

このような考えに立って、助教授と〇〇の方針を眺めていると、産業化は失敗すると考えられます。失敗するような方法を、なぜ取っているのかと考えていたら。ある仮説が浮かびました。それは、T芝は産業化を目指すのではなく、技術のストックとして得ておきたいのではないかというものです。つまり、GEがかつて、家庭用原子力発電機は実現性が低いとわかっていながら、もしその市場ができた場合に乗り遅れることを恐れて、投資を続けたことと同じことです。

さっそく、助教授を捕まえて、議論してみました。結論だけ書くと、〇〇は本気で産業化を目指している。初めから、高品質、大規模の市場を狙っているのは、政府の支援があるから。ということでした。これは、面白いケーススタディになりそうです。('▽')